柏崎刈羽原発の安全対策の確認作業を終えた県技術委員会の会合=26日、新潟市中央区
柏崎刈羽原発の安全対策の確認作業を終えた県技術委員会の会合=26日、新潟市中央区

 東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。の安全性を確認する県技術委員会(座長・小原徹東京科学大教授)は12月26日、新潟市中央区で会合を開き、東電福島第1原発事故を踏まえた柏崎刈羽原発の安全対策の確認作業を終え、報告書を取りまとめた。全22のテーマのうち、18項目を「特に問題はない」と結論付けた一方、東電が原発を運転する適格性など委員の意見が一致しなかった4項目に関しては、技術委としての判断を避けた。

 技術委で福島事故後の2012年から続けられてきた同原発の安全対策の確認作業は、統一見解を示せない項目を抱えたまま終えることになる。花角英世知事は2024年度末までに、この報告書を受け取り、再稼働の是非について判断する材料とする。

 委員の意見が一致しなかった4項目は、東電が原発を運転する適格性のほか、耐震評価、想定を超えた事象(残余のリスク)への対応、テロ対策など核物質防護。いずれも技術委としての評価は示さず、原子力規制委員会が安全性を確認していることを引き合いに「その判断を否定するものではない」と記した。

 26日の会合では、委員から、東電の適格性について「『問題がないと言い切ることはできない』という意見を明記すべきだ」との求めがあり、さらに追記された。残りの18項目については「現時点において特に問題となる点はない」という結論で一致した。

 

 終了後、小原座長は報道陣に「長い時間をかけ、丁寧に深い議論ができた。意見が一致しなかったところもしっかり記載しており、意義のある報告書だと思っている」と話した。

 花角知事は新潟日報社の取材に「年度末までに完成版の報告をしていただき、その上で内容を確認したい。(再稼働の)議論の材料がまた一つ出てくることになる」と述べた。

 技術委による報告書の取りまとめを巡っては、前回11月の会合で、22項目全てを「現時点において特に問題となる点はない」とする原案が示されたが、委員から異論が相次ぎ、再検討することになっていた。

◆両論併記、玉虫色の決着

 花角英世知事が東京電力柏崎刈羽原発の再稼働是非について...

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