サツマイモの収穫を終えた畑を紹介する西村裕之社長。事務所から300メートルほど離れた所にある=11月、加茂市後須田
サツマイモの収穫を終えた畑を紹介する西村裕之社長。事務所から300メートルほど離れた所にある=11月、加茂市後須田

 新潟県加茂市の土木建設業者が、2024年度、離農した地元農家らの土地を引き受け、サツマイモ栽培に挑戦を始めた。人口減で公共工事の減少が見込まれる中、本業が閑散期の春から秋に耕作する「兼業方式」によって農業を事業の新たな柱に育て、経営の安定を図るのが狙いの一つ。農業に参入したもう一つの理由には、拡大する耕作放棄地を「何とかしたい」という社長の強い思いがある。試行錯誤を重ねながら、販路拡大を目指している。

 農業参入に取り組むのは、加茂市後須田(うらすだ)の西村組。1927年に創業し、農業用排水路や外構工事など、主に公共事業の下請け工事を手がけてきた。行政の予算執行上、工事は9月から年度末に集中し、年間を通して受注が安定しないことが長年の懸案だった。

 かつては従業員の多くが農業との兼業者で、稲刈り後など農閑期に働いてもらうことで経営を維持してきた。しかし、時代とともに兼業者も減少した。

 西村裕之社長(45)は、地域の農家が後継者難で相次ぎ離農し、...

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