1日の長さは地球から見た太陽の動きが基になっている。1カ月は月の満ち欠けに由来するし、1年は地球が太陽を1周する日数とほぼ同じ。暦と自然現象はとても深い間柄にある
▼では1年の始まりである1月1日は、なぜ冬のこの日なのか。昼の長さが最も短くなる冬至や、昼夜の長さがほぼ同じになる春分の頃でもよさそうなものだが、その理由はいまひとつはっきりしない。日本など多くの国が採用するグレゴリオ暦の1月1日には天文学的な意味はないという
▼そんな中でも、大地の変動が暮らしを揺さぶった日として元日を記憶に刻んだ人もいるはずだ。本県を含め多くの被害を出した能登半島地震から季節が一巡りし、1年がたった。去年はうるう年だったから、通常より1日多い時間が経過した
▼もうそんなにたったのかと思う人もいれば、時が止まったままだと感じる人もいるだろう。依然として自宅の修理に手が付けられない人がいる。倒壊した家屋の片付けすら済んでいない人もいる。1年たっても新年の華やぎとは程遠い心境の人は少なくない
▼それでも時間は流れる。どんな人にも、いや応なく新年は訪れた。そこにさしたる意味はなくても、きょうから2025年である。新たな年の訪れを節目として、気持ちを切り替えようとする人もまた多いに違いない
▼ことしは穏やかな年でありますように。毎年のように念じる言葉を、この年明けはいっそう力を込めて唱えたい。ことしこそ穏やかな年でありますように。