例年ならきょう4日が仕事始めだが、ことしは土曜なので、もうしばらく正月休みが続くという人も多いだろう。たっぷりの連休を満喫できるのも、誰かが働いているおかげである
▼医療・介護や公共サービス、流通など社会の基盤を支えるエッセンシャルワーカーは、新型ウイルス禍でにわかに注目を集めた。あの息苦しかった日々を何とか乗り越えられたのは、そうした人々の働きがあってこそだった
▼医療従事者らに感謝する声もあふれたが、近頃はエッセンシャルワーカーという言葉を聞く機会もめっきり減ったように感じる。ともすれば、働く人々に感謝する心も忘れそうになっていて、はっとすることもある
▼さらには、社会を維持する機能を担う人々が、非正規など不安定で低水準の労働を強いられるケースが多いことも指摘されている。1990年代以降の不況と規制緩和の結果、現場の担い手を不当に安く働かせる仕組みが広がったという見方もある
▼労働・社会政策研究者の田中洋子さんは編著「エッセンシャルワーカー」で、社会を支える人々の環境が改善されなければ「結局私たち自身の生活や社会の未来を損なうことにつながる」と訴えている。去年は「年収の壁」に注目が集まったが、労働条件などをさらに議論する必要があるだろう
▼以前の小欄で大型連休に働く人々に向け、こう書いた。「お疲れさまです。別の機会に、しっかり休めますよう に」。この年明けは、もう一言。 「労働条件も向上しますように」