おととい夜の緊急地震速報で示された震源に、緊張が一層高まった人もいたのではないか。「日向灘」と目にして南海トラフ地震との関連を疑った。昨年8月にも周辺で大きな地震があった
▼サッカーJ1アルビレックス新潟の選手らが、キャンプ地の宮崎県に到着したばかりでもあった。幸い、能登半島地震のような被害は報告されなかった。気象庁が発表した南海トラフ地震の臨時情報も昨年は「巨大地震注意」だったが、今回は発生可能性が相対的に高まったとは考えられないとする判断が示された
▼ほっとすると同時に、新たな懸念が頭をもたげる。人間は物事に慣れる生き物だ。これまで大きな被害がなかったから、これからも…。そう考えがちになる。きのうは北朝鮮がまたも弾道ミサイルを発射した。これにも慣れっこになってはいないかと自問する
▼「オオカミ少年効果」という心理学用語はよく知られている。危機を指摘する情報に慣れてしまうと、今後も大きな問題は起こらないと往々にして思い込む。次の瞬間に大きな危機に見舞われる可能性は常にあるはずなのに
▼地震列島のこの国に生きる私たちは、どんな構えで日々を過ごせばいいのか。万一の事態への備えが必要なのは当然として、平常時に過剰な買いだめなどに走るのも考えものだ。緩みすぎず、緊張しすぎず。分かっていても難しい
▼まずは危機に直面した状況を思い浮かべてみる。命をどう守るか。避難をどうするか。再確認の機会を天が与えてくれた。
