1936年の大寒前後のことだ。信濃川河口と新潟港が結氷した記録がある。新潟新聞は1月18日付で「船の身動き出来ず」と報じ、翌日は困難な砕氷作業も伝えている
▼氷の厚さが30センチにもなって、歩いて渡れたという(白川政雄「新潟県365日事典」)。とうとうと流れる 今の川面を見ていると、日本一の大河が凍り付くなど、にわかに信じられない。その年の1月22日には長岡で氷点下19・3度を記録、湯之谷村(現魚沼市)栃尾又では積雪が7メートルを超えたという
▼そんな酷寒の冬から89年、今は地球温暖化との闘いだ。平均気温の上昇は加速していると感じる。冬を前にした気象台の3カ月予報では、大雪になりそうな気配もあった。確かに魚沼市守門や津南町では積雪が2メートルを超えるなど、山あいは平年以上の地域も多い
▼一方で、海岸部では降雪が少ない印象だ。新潟市も雪ではなく、雨やみぞれがやたらと多い。気象台は先ごろ「高温に関する早期天候情報」を発表した。20日ごろから気温が高くなるとし、農作物の管理やなだれへの注意を呼びかける
▼「早期天候情報」は10年に1回程度の著しい高温や低温、降雪量となる可能性が高まっている場合に出る。20日は大寒。本来ならこの節気の時分は最も寒さが厳しく、降雪も多い時だ
▼〈大寒と敵(かたき)のごとく対(むか)ひたり〉富安風生。今の季節に対峙(たいじ)するのが寒波や豪雪ではなく暖かさとは。雪国に住む者として、肩透かしのような真冬の予報に少しだけさみしさも感じてしまう。