女王の座とはまさに紙一重だった。サッカーの皇后杯決勝で、アルビレックス新潟レディースは延長を含めて120分の激闘の末、PK戦に散った。それでも堂々の準優勝だ。選手やスタッフの健闘を心からたたえたい

▼雪国のハンディをものともせず…。そう言いたいところだが、実際には対戦相手だけでなく新潟の冬との戦いも余儀なくされた。ことしに入ってからは、新潟市西区の屋根付き練習場や大阪府内の施設を間借りして準備することが多かった

▼悪天候が多い真冬でなければ聖籠町の専用練習場を拠点に普段通りの環境で調整に専念できたはずだ。慣れない環境の下ではコンディションを整えるのも一筋縄ではいかなかっただろう

▼準優勝の結果に、こんな見方をする向きがあるかもしれない。雪国のハンディなど関係なかったじゃないか-。でも、ちょっと待ってほしい。チームは練習場所の確保や調整に四苦八苦させられた。冬季の気候に恵まれた地域のチームと、本当に対等な立場で競い合えたのかどうか

▼ハンディを補うための自助努力が求められるのは当然だ。一方で、その差を埋めるための合理的な配慮もあってしかるべきだろう。競技である以上、できるだけ公平な環境を整備する必要がある

▼雪の少ない地域の人に、雪国の苦労を理解してもらうのは簡単ではない。とはいえ、降雪時に災害が起きた際の避難など雪国には特有の事情がある。どうしたらいいか一緒に考えましょうよ。そんな投げかけを続けたい。

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