毎年この時期になると特定の食べものに使う金額が日本一のまちはどこかという話題になる。国が調査結果を公表するからだ。新潟市はラーメンへの支出がトップ級として知られるが、同じく国民食と言っていいギョーザとなると全国的にはかなり下位らしい
▼データの出典は、総務省が全国の都道府県庁所在市と政令市の世帯を対象に実施した家計調査だ。2021~23年の平均値を見ると、新潟市のギョーザの購入額は40位にとどまる
▼この料理が大好物という人は多い。作家や文章の達人の中にもファンは大勢いるようで、多くの書き手がその魅力をつづっている。数学者の藤原正彦さんもその1人。なにしろ「ああ餃子(ぎょうざ)」という小文ではこう書き出した。「餃子こそ古今東西の料理中、最高と思う」
▼独身時代は某社の冷凍ギョーザをほぼ毎日食べていたという。妻との初デートで食べたのもギョーザだったというから筋金入りだ。見た目にも心を奪われている。「形がよい。こんがり焼けた色もよい。無性に箸(はし)でつかみたくなる愛らしさだ」
▼新潟の人はもっとギョーザ好きになる余地があるはず。そう踏んだ飲食関係者が、3月に新潟市で全国のギョーザが一堂に会するイベントを開くという
▼もちろん県内にも、名店や人気店がある。店名を冠した冷凍ギョーザなども売り場で見かけるようになった。カリッとした皮の中から肉と野菜のうまみがあふれ出る。今の季節は水ギョーザもうれしい。店でも家でも。やっぱり国民食だ。