バスケットボールはめまぐるしい攻防が大きな魅力だ。シュート力や高さ、戦術眼など、選手たちのさまざまな持ち味が融合すると、度肝を抜くような連係プレーが生まれることがある。そうした相乗効果をバスケ界では「ケミストリー」と呼ぶ
▼本来は「化学」「化学反応」という意味だ。B3新潟アルビレックスBBの鵜澤潤監督は、今シーズンを戦うに当たって「ベテランと若手がうまくケミストリーを起こして、一つのチームをつくっていきたい」と話していた
▼比喩的に、人と人の「相性」という意味でも使われる。先日初めて会談した石破茂首相とトランプ米大統領は、ケミストリーが合うのかどうかという点でも注目を集めた。安倍晋三元首相は共通の趣味のゴルフなどを通じて、相性の良さを演出していた
▼初会談を終えた石破首相にしてみれば、まずは無理難題を押しつけられることもなく、胸をなで下ろしたことだろう。トランプ氏は、石破首相が連発する褒め言葉に上機嫌で応じたというところか
▼貿易赤字解消などの課題解決に向け、日本側にしばし猶予を与えたという側面もあるかもしれない。正直、ケミストリーが合ったかどうかは、よく分からない。両者の関係は始まったばかりだから、これからの展開にこそ注目すべきなのだろう
▼予測不能な言動で世界を振り回すトランプ氏は、個人的な人間関係を重視する面もあるという。一筋縄でいかないのは間違いない。果たして好ましい化学反応は起きるかどうか。