昨年、地方都市のまちづくりで大きな注目を集めたのが長崎市の「スタジアムシティ」だ。サッカーJ2長崎の本拠地である競技場を中心に、バスケットボールB1長崎のホームアリーナやホテル、ショッピングモールまで備え、10月に開業した

▼スタジアムを核にした再開発やにぎわいづくりが各地で進む。広島市中心部には昨年2月、J1広島の本拠地がオープンした。それまでの郊外の競技場に比べ客足が大幅に伸び、まちの活性化に一役買った。愛媛県今治市で一昨年完成した競技場は複合福祉施設を併設し、誰もが分け隔てなく集う場を目指す

▼昨年末にも新たな動きが浮上した。富山市ではJR富山駅近くにスタジアムを建設しようと、県サッカー協会などが動き始めた。大分市でも、市街地にサッカー専用スタジアムを設ける構想が明らかになった

▼事業主体など整備手法は地域によって異なる。一方で、プロスポーツの開催時以外も人が訪れ、楽しめる環境をつくろうという理念を掲げるケースが目立つ

▼新潟市郊外のデンカビッグスワンを本拠地とするアルビレックス新潟はリーグでも屈指の観客動員を誇る。ただ、観客はマイカー利用も多い。まちなかへの誘客効果は限定的だ

▼新潟市のスポーツ施設の将来像を議論した有識者会議は昨年示した提言で、中心部の白山エリアなどはスポーツによるまちづくりや地域活性化の役割を期待するとした。具体化する余地はあるだろうか。アルビの今季リーグ戦はきょう開幕する。

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