新潟市内にドカ雪が降った翌日、土曜日の朝のことだ。いつもと同じ時間に郵便受けを開けたけれど、そこに新聞はなかった。さすがにこの雪では無理なのだろう。奥まった玄関から道路までの雪を、人が歩ける程度によけて、そそくさと家に戻って暖を取った

▼燃えるごみの収集日でもあった。ごみを出している人はいるか、ステーションへ見に行こうとしたときだ。2時間前によけた雪の上に、長靴らしき足跡が残っていた。跡は家に来て、また道路へ戻っている。もしやと郵便受けに手を伸ばすと、そこに新聞が入っていた

▼燃えるごみの収集車は、いつもとさほど変わらない午後の早い時間に、でこぼこ道をやってきた。ごみ袋を回収すると、また車体を揺すりながら去って行った

▼どちらの働き手も、きっと難儀をして出勤したに違いない。除雪が追い付かず、歩道も埋まり、歩けない所はたくさんあった。自転車やバイクでは到底、走れない。休日で助かったと、胸をなで下ろしていた自分が情けない

▼交流サイト(SNS)では、やはりドカ雪に見舞われた北海道帯広市で胸まである雪の中、こぐように出勤する看護師の動画が流れてきた。自分を必要とする人を思って踏ん張っているのだろう。使命感に頭が下がる

▼もちろん、雪に阻まれて業務を果たせなかった人もいたはずだ。暦の上ではとうに春でも、冬将軍はまだ頑張るらしい。天気予報に雪マークが続く。安全を第一に。踏ん張る人にはありがとうの言葉を添えたい。

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