
被爆体験などを児童に語る本間文紀子さん=1月30日、村上市の村上小学校
自らの被爆体験を新潟県内で語り続ける女性がいる。広島市で10歳の時に被爆した本間文紀子(ふきこ)さん(89)=新潟県村上市=だ。原爆がいかに人々を焼き、街を壊したのかを地元の小学校で毎年講演してきた。「生き残った者の役割として、語れるうちは語りたい」と戦後80年となる2025年も子どもたちの前に立つ。
「原爆で大やけどをして、皮膚が腰まで垂れ下がったまま歩く人がいた。歩くたび、乾いた皮膚が新聞紙のように『バサッ、バサッ』と音を立てていた」。村上市の村上小と小川小の6年生を前に1月下旬、本間さんは被爆直後の広島の様子を語った。
愛媛県松山市出身で、父の仕事の都合で原爆投下前年の1944年、現在の広島市西区に転居した。45年8月6日朝、市郊外の自宅から、妹や隣に住んでいたいとことともに国民学校に向かった。
教室に到着した後「夕焼けを何倍にもしたような強い光」を浴びた。腸がねじれるような気持ち悪さを感じて意識を失った。気づくと...
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