赴任先の魚沼市で冬を過ごしていた時、周囲から口酸っぱく言われたことがある。「雪が積もったら早めに片付けるんだよ」。積もってから時間がたつほど締まって固くなり、重くなるからだ
▼ただでさえ、除雪は重労働である。それでも積もり始めのふんわり軽い雪であれば、まだましだ。しかし日中に気温が上がると夕方にはざらめ状に変化し、ずしりと重くなる
▼数日たてばなおさらだ。連日の雪の重みで締まると氷のようになる。こうなると、スコップを突き立ててもはじかれる。重さはさらに増し、持ち上げようとすれば、よろめいて転びそうになる。わずかな作業でも手足や腰が悲鳴を上げる。屋根からの落雪に直撃されれば命を落としかねない
▼長く居座った寒気がようやく抜けた。降雪も一段落のようだ。けれど雪との闘いはまだまだ続く。重く、固くなった難物だ。むしろ闘いはこれから一層厳しくなるのかもしれない。雪崩の危険も増す。雪捨て場の確保も難題だ
▼気象庁の観測では、きのう正午の津南町の積雪は367センチで、24時間前より10センチ減った。一方、防災科学技術研究所が提供している積雪荷重計算サイトによると、積雪量などから算出する1平方メートル当たりの荷重は1524キロで24時間前より16キロ重くなった
▼本県の多くの地域には、分厚く重い雪の層が覆いかぶさっている。春を思わせる日差しが届いても、雪と隣り合って暮らす日々は、もうしばらく続く。これからは三寒四温だろうか。もう一踏ん張りだ。