根本的な原因については分析しないという姿勢では、立地地域や県民の不信を払拭できるとは、到底思えない。

 原子力規制委員会と東京電力には、地域住民の思いを受け止めた真摯(しんし)な対応を求めたい。

 東電柏崎刈羽原発でテロなどを防ぐ核物質防護体制の不備が相次いだ問題で、規制委が東電に対する検査の中間報告をまとめた。

 「原子力部門全体で核セキュリティーに対する意識の低さがあった」として昨年9月に東電が提出した報告書を追認する内容だが、一連の不備については、東電の全社的な問題ではなく「柏崎刈羽原発に固有の問題」と結論付けた。

 柏崎刈羽原発では、運転員が同僚のIDカードで中央制御室に不正入室した問題が発覚した。不正侵入を検知する設備が複数箇所で故障し、代替措置が不十分な状態に置かれていたことも分かった。

 核セキュリティーへの意識の低さが浮き彫りになり、原発の安全性への不安と、東電への不信を感じた県民は少なくない。

 中間報告は、柏崎刈羽原発では核防護の管理者が他の業務を兼務し、防護業務に従事する比率が低かったと指摘。管理者は設備の状況などを審議する会議に参加せず、経営層による立ち会いもほとんどなかったとした。

 そうしたずさんな体制は柏崎刈羽原発だけで、同じ東電の福島第1原発や、他の電力会社では見られないことだったという。

 規制委の更田豊志委員長は記者会見で、柏崎刈羽原発について、「管理者の個性に大きく左右されてしまうような仕組みがあった」と説明。機密保持が求められる核セキュリティーは性格上、専門家によるコミュニティーが築かれ、透明性や公開性に課題があることを示唆した。

 それならばなぜ、柏崎刈羽原発だけが属人的な影響が生じるシステムになっていたのか、なぜ経営層が対応できなかったのか。知りたいのはそういった分析だ。

 そうした観点について更田氏は「分析することが主眼ではなく、(東電が)回復するのかが検査の主眼」と強調した。

 だが一連の事態の深刻度を史上初めて最悪レベルと判断した規制委には、原因を分析し、明確にした上で改善策を促す役割が求められているのではないか。

 柏崎市の桜井雅浩市長は「なぜ柏崎刈羽にこのような問題が生じるのかという深層を、東電、規制委ともに掘り下げて分析していただきたい」とコメントした。立地地域が抱く当然の思いだろう。

 規制委は、柏崎刈羽原発に核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出しており、解除の要件となる設備強化などは今後の検査で確認するという。

 規制委には立地地域に向き合う姿勢も同時に示してもらいたい。