海を隔てたかの大国の指導者は1月の就任後、既に100本もの大統領令に署名した。紙ストローの推進をやめるという命令もその一つ。プラスチック製と違い「口の中で気持ち悪く溶けるから」という
▼きっとファストフード好きには我慢ならないことだったのだろう。温暖化対策を「ばかげたグリーン詐欺」と言い張る人の目に、こんな14歳はどう映るのか
▼鎌倉市の中学2年、原澤幸希さんは環境問題に目覚めた小学3年時から、給食の牛乳をストローで飲むのをやめた。たった一人の行動では意味がないと揶揄(やゆ)もされたが、運動は級友に広がり、大人も巻き込み、ついには行政も動かした
▼市は公立の小中学校の給食でプラスチック製ストローの使用を廃止した。意識の問題である。原澤さんは「小さいことでも動き出すことが大切」と交流サイト(SNS)で発信している
▼「まず自分にできることから」と自力で動き出した10代が本県にもいる。新潟明訓高2年のスティーン花怜(かれん)さん(17)は、タンザニアの貧しい子どもたちを支援するNGOを設立した。ボランティアで現地を訪ねた縁で、食料や衣服を提供する。日本にだって貧困問題はあるのに、と皮肉る人にはこう答える。「外から手を借りないと立ちゆかない国もある。種をまきたい」
▼考え抜いた挙げ句、何もしないことはままある。遠い地で受けた衝撃をその場限りにせず、できることを始めた行動力に敬服する。行動した先に見える景色をまたいつか聞かせてほしい。