岩手県大船渡市の山火事では、多くの人が避難を余儀なくされた。そんな中でペットについては避難先の受け入れ態勢が整わず、同行を断念せざるを得ないケースもあったようだ

▼最近はペットと一緒に避難できることも増えたとはいえ、いざという時にスムーズに行動できるかは、われながら心もとない。わが家の老猫には持病がある。毎日投与せねばならない薬も持ち出せるか。避難先で、ほかの人とトラブルにならないか。もしも逃げ出してしまったら…。不安は尽きない

▼犬を飼っていた頃は、車の中やテントで避難生活を送ることも検討せねばと思っていた。できるだけストレスは軽減してやりたい。しかし自分にとっては家族同然でも、ほかの避難者に迷惑はかけられない

▼ペットとともに被災したら。そんな不安に答えるガイド本「いぬとねこのためのペット防災BOOK」が出版されたと本紙が報じていた。著者は村上市出身のデザイナーでイラストレーターのRina.さん。同市で動物病院を開く父親の鈴木正芳さんが監修した

▼ペットの種類や年齢、性格などによって必要なことは変わってくる。だから完全なマニュアルはないという。基本を押さえながら、各家庭に合わせた対策が求められるようだ

▼何より、飼い主が助からなければペットの面倒は見られない。ガイド本には、そんな当たり前のことを改めて教えてもらった。マニュアルがないなら、万が一の事態をひたすら想像してみたい。それが第一歩のはずだ。

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