温室効果ガスの排出を減らすには、地域が率先して取り組んでいくことが欠かせない。先進モデルの選定を契機に、排出削減の鍵となる再生可能エネルギー電力の地産地消を広げたい。

 環境省は、政府目標の2050年に先駆けて30年度までの脱炭素化に取り組む「先行地域」の第1弾として全国で26件を選定した。本県では佐渡市が選ばれた。

 22年度に新設した200億円の交付金を配分する方針だ。

 今後も順次追加し、25年度までに少なくとも100件に増やす。脱炭素社会の先進事例をつくり、全国に波及させるのが狙いだ。

 佐渡市は選定を受け、公共施設への太陽光発電や蓄電池設備の設置などに取り組む。

 具体的には23年度完成予定の市役所新庁舎(防災拠点庁舎)に太陽光設備を設置し、公用車の電気自動車(EV)化を進める。

 高齢者や観光客の利便性向上に向け、22年度にグリーンスローモビリティと呼ばれる小型低速電動車(写真)2台を導入する。

 国とは別に、県は4月に佐渡島と粟島での再生エネ導入拡大を目指す「自然エネルギーの島構想」をまとめた。エネルギーの地産地消を進め、50年の温室効果ガス排出量実質ゼロにするのが目標だ。

 短期的には住宅での太陽光発電や電気自動車の導入促進、中長期的には洋上風力発電の誘致などを図るとした。

 佐渡は本土の発電施設とつながっておらず、電源供給のほとんどを島内の火力発電に頼っている。

 一方で、市はトキとともに暮らす環境の島をうたっている。今回の選定を構想実現の一歩として、着実に進めてもらいたい。

 県内では、県と11市町村が50年までに排出量実質ゼロを目指すことを宣言している。国と連携し、取り組みを加速させてほしい。

 他の先行地域も地域の実情に合わせた対策を掲げている。

 20年の豪雨で被害を受けた熊本県球磨村は、被災者向け住宅の屋根に太陽光パネルを設置するほか、太陽光発電と農業を両立する「ソーラーシェアリング」を農地で進める方針だ。

 排出削減が地域の活性化や生活の向上につながる事例を増やしていくことが大切になる。

 こうした取り組みを進めるには住民の理解が欠かせない。

 環境省は4月、全国7カ所の地方環境事務所に「地域脱炭素創生室」を新設した。自治体への支援を強化し、住民を巻き込んだ施策づくりを後押ししてほしい。

 ロシアのウクライナ侵攻などの影響で燃料価格の高騰が続き、エネルギー政策の見直しが求められている。安全面でリスクのある原発と違い、再生エネへの移行は重要さを増している。

 ただ、太陽光や風力は天候に左右されやすい。弱点を解消するためにも大容量の蓄電池など革新的な技術開発と普及が急務だ。

 温暖化による異常気象は私たちの暮らしを脅かしている。再生エネの促進と省エネ対策を身の回りから広げていくことで、次世代への影響を抑え込んでいきたい。