リニューアルから1年を迎えたJR新潟駅。南北市街地がつながり、まちづくりの新たな動きも生まれつつある=3月31日、新潟市中央区花園1
リニューアルから1年を迎えたJR新潟駅。南北市街地がつながり、まちづくりの新たな動きも生まれつつある=3月31日、新潟市中央区花園1

 JR新潟駅(新潟市中央区)の約60年ぶりのリニューアルで南北の市街地がつながり、3月末で1年となった。駅舎で分かれていた市街地が一体化し、新たなまちづくりの動きがある一方、変化を感じないとの声もある。新潟市が「まちづくりの大きな転換期」ととらえたこの1年の変化や、今後の課題をまとめた。

 「(駅北側との)壁が取っ払われた。風通しが良くなったね」

 新潟駅南地区の企業などでつくる「新潟市南商工振興会」会長の山口浩二さん(64)=新潟米山薬品代表取締役=は語る。

 山口さんによると、駅北(万代口)側の繁華街で、客引き防止などのためパトロールする有志から「一緒にやりませんか」と案内が来るようになったという。

 「これまではそんなに連携はなかった。協力して何かやってみよう、という感じになっている」。まちづくり、にぎわいづくりへの新たな動きに、手応えを感じている。

▽駅と古町往復で500円超…バス運賃「改善を」

 一方、「大きな変化はない」との声もある。

 「新潟駅との連携などは特にない」。中央区の古町、沼垂両地区で生地・布地専門店「手づくりショップ布(キレ)」を営む高山卓一郎さん(59)は話す。

 高山さんは、店が面する柾谷小路の商店街振興組合理事長も務め、近くの本町地区と連携したイベントを行ってきた。新潟駅との連携にも関心を示す中、改善を求めているのが路線バスの運賃だ。

多くのバスが行き交う新潟駅万代口のバスターミナル周辺=3月31日、新潟市中央区花園1

 新潟駅-万代間は片道120円だが、古町まで来ると倍以上の260円に上がり、往復では500円を超える。高山さんは「人が動きやすい環境ではない」ととらえ、「市と交通事業者が連携して定額乗り放題など利便性を高めれば、人はもっと動きやすくなる」と提言する。

▽万代・古町に大きな変化なく…新潟駅の“一人勝ち”懸念

 新潟市によると、携帯電話会社の人流分析データでは、24年は、南北の通行者数が前年に比べ、月当たりで17%増えた。また、新潟駅に15分以上滞在した人が前年の1・7倍に達した。「南北市街地の一体化」が進みつつあることや、新潟駅の集客力の高さがうかがえる。

 一方で万代や古町に、大きな変化は見られなかったという。

 万代シテイ商店街振興組合理事長の髙井俊幸さん(58)=新潟交通取締役=は「現在は戻ってきているが一時は、駅の商業施設に流れたお客さんもいた」と振り返る。

人々が行き交う新潟駅万代口バスターミナル周辺=3月31日、新潟市中央区花園1

 新潟市の三富健二郎・都心のまちづくり担当理事(59)は「新潟駅の“一人勝ち”にしないことはこれからの課題だ」と話す。「新潟駅のにぎわいを古町、万代などにつなげることはまだ、できていない。来訪者が市内各地へ向かってくれるような取り組みを、関係団体と連携して進めたい」と力を込めた。

◆工事遅れの「万代広場」、全面供用開始は2027年4月予定

 JR新潟駅の...

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