お隣富山県の新田八朗知事が、政府が2026年度の創設を目指す防災庁を同県に置くよう要望した、という小さな記事が先日、本紙に載った。「富山は日本海側の中心で首都圏からのアクセスも良い」。新田知事が富山を説明した一文が目を引いた
▼地図を開いてみた。青森から山口まで、本州を二つに畳むと富山はほぼ真ん中にあたる。東京-富山は新幹線に乗れば2時間ほどで着き、東京-新潟と変わらない。10年前に北陸新幹線が延伸したことが大きい
▼「日本海側の中心都市」と「首都圏からのアクセスも良い」というのは、長い間、新潟の専売特許と思っていただけに、後ろ頭を殴られた気分だ。凝り固まった固定観念といえるだろう
▼むろん、新潟市が本州日本海側唯一の政令指定都市であることに変わりはない。一方で、新幹線延伸後の富山や金沢の隆盛を踏まえれば、新潟の優位性が以前より低下していることは、否定できない
▼新潟の位置づけが、世界の中での日本に重なって見える、とは言い過ぎだろうか。経済の代表的指標である国内総生産(GDP)で、23年に日本が半世紀ぶりにドイツに抜かれ、世界4位に転落したことを思い出す
▼日本が「世界2位の経済大国」になったのは1968年のこと。その座は2010年に中国に替わり、近い将来、日本はインドやインドネシアに抜かれることも確実という。経済大国の固定観念に縛られていては、躍進するアジアの国々に置いていかれる。発想を、変えなくては。