厚生労働省は新型コロナウイルスの4回目ワクチン接種を5月末にも始める方針を決めた。
今回は接種を受ける対象者を絞ったことが、3回目までとの大きな違いだ。国や自治体は十分に周知し、混乱を来すことのないように準備を進めてほしい。
ワクチンは3回目接種から時間がたつと効果が弱まることが指摘され、厚労省は3月下旬から4回目接種の必要性を検討していた。
先行する海外の研究結果を踏まえ、4回目接種は重症化予防効果はあるものの感染予防はあまり期待できない点から、重症化リスクの高い人に限定した。
60歳以上と、18歳以上で基礎疾患のある人や医師が必要性を認める人が対象になった。
3回目からの接種間隔は5カ月以上とする方向だ。
これまでは幅広い年齢層へ接種することで感染拡大防止を図っていたが、重症化予防へ目的を絞ったとも言える。
対象者を限るため、自分が含まれるのか迷う人もいるだろう。国や接種に当たる自治体は、対象となる基礎疾患などについて分かりやすい説明が必要だ。
自治体は18~59歳では対象となる人を選んで準備する必要がある。国は対象となる人に接種券を申請してもらう方法や、接種会場で直接券を発行することなどを自治体に例示したという。
接種がスムーズに進むよう知恵を絞ってほしい。
専門家からは、医療や介護従事者を対象から外したことを疑問視する声が出ている。
感染リスクを負いながら業務している人たちだからだ。海外では対象にしている国もある。
厚労省担当者は「最新の知見や諸外国の動向を踏まえて検討する」としている。
行動制限のなかった大型連休が終わり、新規感染者が再び増加に転じる気配がある。今後の感染状況に目配りし、現場が安心して業務できるよう先手を打って対応してもらいたい。
自治体は3回目接種と並行して、4回目を行わねばならない。
本県は日時指定方式や新潟空港で大規模接種会場(写真)を設けたことなどが奏功し、3回目を完了した人の割合では都道府県のトップになった。
ただ、9日時点で65歳以上は80%を超えているのに対し、20、30歳代では40%超にとどまる。
オミクロン株は感染しても重症化しにくいため、打たなくてもいいといったムードが若者の間で広がっていると指摘されている。しかし、若者も感染すれば後遺症の心配がある。
新潟医療センター(新潟市西区)は、3回目接種で増える抗体量は2回目の3・9倍で、その後も効果の高い状態が持続するとの調査結果を発表し、感染予防の有効な手段であることを示している。
社会経済活動を止めざるを得ない感染拡大を二度と招かぬようにしたい。3、4回目接種を含めしっかりとウイルス対策を講じなくてはならない。