重大事故につながる危険性が極めて高い。発生を防ぐためには、ハードとソフト両面での方策を早急に考える必要がある。

 逆走による事故が相次いでいる。4月に栃木県那須塩原市の東北道では、乗用車が逆走し、ほかの車両に正面衝突するなどしたほか、この影響による渋滞で追突事故が発生した。3人が死亡し、11人が重軽傷を負った。

 この逆走車を運転して死亡した40代の男性は、インターチェンジ(IC)から反対車線に誤進入したとみられている。

 今月にも三重県亀山市の新名神高速道で乗用車が逆走し、避けようとした車が玉突き事故を起こすなどして4人が軽傷を負った。

 捜査関係者によると、逮捕された男は、滋賀県内の本線上でUターンした可能性があるという。

 再発防止に向け、警察は事故の検証を進めてほしい。

 高速道での逆走は毎年200件程度発生している。本県の昨年の逆走通報件数は県警高速隊によると35件だった。過去5年では年間20~40件台で推移している。

 逆走事故は、ほかの事故に比べて死亡率が高いというデータもある。国土交通省の統計では、2011~23年の高速道路事故全体の死亡率と比べ、38倍も高い。

 逆走は命が失われかねないという認識を持つ必要がある。後を絶たない逆走を防ぐ対策を検討しなければならない。

 国交省によると、逆走の開始場所はICなどの分岐点や合流地点が最多で、23年は37・0%、次いで料金所付近が25・4%だった。

 要因としては誤進入や分岐を間違えるなどといった「道間違い」が半数を占めたという。

 東北道の事故で逆走車が誤進入したのは、本線に向かう車線と本線から降りる車線がY字に平面交差しているタイプで、「出入り口が分かりにくくて危険だ」との指摘がある。県内にも同様のICが7カ所あり、注意が必要だ。

 高速道路管理会社も緊急対策に乗り出している。注意喚起や表示の追加などの逆走防止策を充実させ、構造的な問題ならばすぐに改めなければならない。

 ただ、こうした対策だけでなく、私たち高速道を利用する側も逆走を防ぐ意識を持ちたい。

 標識や表示の確認を習慣づけることが基本だ。出入り口を間違えても、絶対にUターンやバックをしてはならず、次のICで降りるようにする。

 逆走してしまった場合は、すぐに安全な場所に停車し、ハザードランプを点灯するなどした上で、通報することが求められる。

 逆走車を見つけた場合、警察などに通報することで、周辺車両への早めの注意喚起につながる。

 運転する際は注意を怠らず、慌てず対処することなどを改めて肝に銘じたい。