セカンドの守備をする遠藤花さん。チーム初の県人主将だ=5月、南魚沼市

 野球は男子のスポーツというイメージが今より強かった2008年、県内の小学生女子球児が集まる交流大会「BBガールズフレンドシップマッチ」が初めて開催された。当時小学6年生で、長岡市内の少年野球団に所属していた記者も参加し、60人超の仲間と夢中で白球を追ったことを覚えている。小学生から始まった女子野球の輪は広がり、現在は県内の高校、大学にもチームがある。がむしゃらに野球に打ち込む選手と支える関係者を取材した。

(報道部・山田史織)

チーム初の県人主将誕生!「最高のJKライフ」送る二塁手

開志学園高・遠藤花さん

 「喜びも悩みも、野球のことばかり」。開志学園高校(新潟市中央区)の女子硬式野球部主将、遠藤花さん(17)=燕市出身=は力強く語る。2013年に県内初の女子硬式野球部として発足して以来、初の県人キャプテンだ。声をからしながら部員44人を率い、二塁手としても堅守で支える。

 少年野球団に所属していた兄2人の影響で、物心ついた頃から野球が身近にあった。遊びながら球を投げる花さんを見た当時の監督から「やってみたら」と勧められ、小学2年でプレーを始めた。

 ピッチャーと内野手をこなし、高学年になるとレギュラーで活躍した。学校の休み時間は男子とドッジボールやかけっこをして遊ぶほど活発で、野球をしていても性別を意識することはなかった。

 6年の秋に県内小学生女子の選抜チーム「新潟BBガールズ」に選ばれ、女子野球を体験。「明るく盛り上がって、男子とやるのとは少し違った。野球って楽しいと、純粋に思った」と振り返る。その時の仲間と「高校で一緒に硬式をやろう」と約束した。

少年野球をやっていた小学6年当時の遠藤花さん(右)

 中学では硬式のチーム「三条リトルシニア」でプレーした。身長や足の速さで男子に「越された」と焦ることもあったが、戦況を客観的に分析する視点を鍛えることを意識し、副キャプテンも務めた。

 中学3年の夏、開志学園が高校女子硬式野球の全国大会で決勝に進み、甲子園で戦う姿をテレビで見た。結果は準優勝。「かっこよくて憧れたし、新潟から全国優勝したいと思った」。BBガールズの3人の仲間と一緒に、開志学園の門をたたいた。

 現チームは44人のうち、半分以上が県外出身。県内選手も新潟市外が多く、寮生活が基本だ。有志で朝練に取り組み、夜には素振り、食事中も野球の話ばかりする。花さんは「楽しいが、レベルが高くて常に必死だ」と苦笑いする。

試合後に整列する開志学園高女子硬式野球部の選手たち

 両親は花さんを、...

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