公園でマスクを着用して遊ぶ子ども(新潟市)
公園でマスクを着用して遊ぶ子ども(新潟市)

 2年以上求められてきた新型コロナウイルス感染防止対策の転換点とも言える。日常生活へ一歩近づくことになり、歓迎する人は少なくないはずだ。

 しかし、感染者数はまだ多い。人混みの中など感染リスクが高い場所では引き続き警戒が必要だ。

 厚生労働省は、マスク着用に関する考え方を発表した。

 屋外では2メートル以上の距離を確保できなくても会話をほとんどしなければ、マスクを着用する必要はないとした。

 屋内に比べて感染リスクが低いことが理由だ。

 政府はこれまで、屋外で距離が十分に保てればマスクを外してもいいとしていたが、具体的なケースを示していなかった。

 流行中のオミクロン株は重症化リスクが低く、ワクチン接種も進んだ。海外では着用義務を解除した国もある。

 国民の関心は高いが、個人が判断するのは難しい問題でもある。国が例示するのは当然だろう。

 オミクロン株の拡大に伴い2月から推奨されていた2歳以上の未就学児の着用については、「一律には求めない」と見直した。

 熱中症のリスクがあるほか、マスクを着けたままだと表情を読み取ることが難しく、発育に影響するとも指摘されている。子どもが心身ともに健やかに成長できる対応を最優先としたい。

 一方で、屋外であっても人混みや会話がある場合、バスなど人との距離が確保できない公共交通機関に乗っている場合では、引き続き着用が求められる。

 必要に応じて着用できるよう、マスクを常に持っておきたい。

 これまでの知見で、マスクは感染拡大抑止効果が高いことは分かっている。

 県内では長岡まつり大花火大会をはじめ感染禍で開催できなかったイベントが再開されることになった。3年ぶりの開催となる所も多く、待ちわびた人たちで混雑することが予想される。

 こうした場所では、屋外でもマスク着用を求められる可能性があるだろう。イベント主催者は来場者に分かりやすく説明し、周知を心掛けたい。

 厚労省の考え方に、熱中症の心配などをしている市民の間から歓迎する声が上がっている。

 しかし、外で十分な距離があり会話が少ない場合でも、感染の不安からマスクを外したくないという人もいるだろう。

 「外す基準が曖昧なのでトラブルになるのでは」と、心配する声も出ている。

 体調や考え方は人によって違うということを忘れずにいたい。トラブルにつながらないように、屋内や人混みの中ではしっかりと着用することも大切だ。

 政府関係者には「警戒を緩めるのはまだ早い。マスクを外して良いと言えば、間違ったメッセージになる」と懸念する声もある。

 感染が収束していないことを肝に銘じ、再拡大させないように、一人一人が注意したい。