参院選がきょう20日、投開票される。衆院では自民、公明両党が少数与党となっており、選挙の結果次第では、政権の枠組みが変わり得る。事実上の「政権選択選挙」といえよう。

 日本は現在、内政、外交ともに難題が山積している。政府は実効性のある政策をタイムリーに打ち出さなければならない局面だ。各党の公約を比較し、熟慮の上で一票を投じたい。

 選挙戦ではコメをはじめとする物価高騰対策が最大の争点となった。暮らしを守るため、各党が現金給付や消費税の減税・廃止などを公約した。財源の裏付けも含め、吟味しなければならない。

 「令和の米騒動」によって、農業政策も注目された。本県にとっても大きな関心事である。コメ不足だけではなく、農家の高齢化や後継者不足など、中長期的な課題への対応も重要だ。

 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題は、本県の大きな懸案である。国のエネルギー政策は、県民の安全・安心に直結する。

 地方活性化策は待ったなしである。若者の流出が止まらず、人口が減り続ければ、地域社会や産業を維持していくのは困難だ。

 日本の安全保障や国益を取り巻く環境は大きく揺らいでいる。各党の防衛、外交政策にも、目を凝らす必要がある。

 周辺海域では、中国の空母や戦闘機の軍事活動が活発化し、緊張が高まる。米国は日本に対し、中国抑止のため防衛費をいっそう引き上げるよう求めている。

 トランプ米大統領は自国第一主義を掲げ、同盟国であるにもかかわらず、日本にさらなる高関税を課そうとしている。経済への悪影響が懸念される。

 気がかりなのは、低投票率が続いていることである。

 1992年以降、60%を下回り、2022年の前回参院選の投票率(選挙区)は52・05%、過去4番目の低さだった。

 特に10代が35・42%、20代が33・99%、30代が44・80%と若者の低さが目立つ。

 今回の参院選では、子育てや選択的夫婦別姓など、若者に深く関わる問題について、各党が熱心に訴えている。

 新聞やテレビ、インターネット、交流サイト(SNS)などで各党の公約を見比べ、投票所に足を運んでほしい。真偽不明の情報には注意したい。

 選挙は、自分たちの代表を選ぶだけではない。自らが望む政治とは何か、具体的に考える貴重な機会でもある。

 選挙の後、当選者や政党が公約を確実に実行に移すかどうか。点検を続けることも、有権者の大事な仕事だ。