新型コロナウイルス禍で疲弊した地域経済が立ち直っていけるのか、試金石の一つになるだろう。しっかりと検証して課題を洗い出し、体制を整えたい。

 訪日観光客の受け入れ再開へ向けた実証事業が始まり、第1弾の参加者が入国した。事業では米国など4カ国から約50人の旅行会社関係者らが来日し、15組に分かれ12県の観光地を回る。

 旅行中に感染が広がらないようにする対策の有効性や、陽性者が出た場合の連絡ルートなどを確認し、観光庁が業界向けのガイドラインにまとめる。

 政府はオミクロン株の急拡大により、昨年11月末から外国人の入国を禁止していたが、今年3月以降、ビジネス関係者や留学生らについては解禁した。

 6月1日以降は1日当たりの入国者数上限を1万人から2万人に引き上げる。

 観光目的の入国は段階的に解禁する方針だ。これに伴い、一部の検査を免除するなど検疫も大幅に緩和する。

 円安は輸入原材料が割高になるなどの一方で、海外からの誘客にはプラスになる。大きな痛手を被った観光業界の期待は大きい。

 訪日客は2019年に過去最多の3188万人を記録したものの、ウイルス禍の打撃を受けた21年は統計を開始した1964年以降で最少の24万人にとどまった。

 本県の外国人延べ宿泊数は19年に約48万人だったが、21年は速報値で2万9千人まで落ち込んでいる。事業を停止したホテルもある。

 一方、政府は全国一斉の観光支援事業「Go To トラベル」の再開時期については、ウイルスの感染動向を見極め慎重に判断するとしている。

 しかし、水際対策を緩和しながらトラベル事業を認めないのは整合性が取れないとして、与党や自治体に再開論が出ている。

 本県などでは大型連休後に感染者が増加した。これまで県をまたぐ移動が増えると感染が拡大する傾向が続いてきた。

 感染力が高い新たな変異株が流行することも考えられる。感染状況が悪化した場合にどう対処するのか。混乱を招かないように、政府はあらかじめ方針を示し、丁寧に説明する必要がある。

 世界経済フォーラム(WEF)が24日に発表した21年の旅行・観光開発ランキングでは、日本が初のトップになった。交通インフラや文化資源などが高く評価されたという。ウイルス禍からの回復を目指す観光業界にとって追い風になるだろう。

 6月からの入国緩和による経済効果は、年8兆円以上増えるとの試算もある。

 そうした好材料を地域経済の活性化につなげられるように、関係者は感染状況に注意しながら準備を進めておきたい。