町内会の夏祭りを1カ月先延ばしすると、回覧板が回ってきた。子どもみこしや住民による焼き鳥販売は8月下旬の恒例イベントだったが、猛暑に配慮した判断なのだという
▼行事のあり方が各地で見直されている。気候変動ばかりが理由ではない。人口減少による担い手不足に悩むケースがあり、コミュニティーを巡る住民意識の変化もある。「続ける必要ある?」。そんな声も聞こえる
▼曲がり角にあると言うならこちらも。新潟まつりが8日開幕する。江戸時代から続く住吉まつりなど港町の四つの祭りを統合し、ちょうど70年になる。かつては3万人が踊り、日本最大とされた民謡流しだが、今年の参加予定は7500人を下回る
▼高校生以上の踊り手に、新たに任意で1人200円の協力金を募るという。有料観覧席が成り立つ徳島市の阿波踊りなどと比べることもないが、ますますじり貧にならないか気にかかる
▼祭りにストーリーを持たせられないものか。踊りの列を天の川に見立てたら何ができるだろう。企業や団体単位で参加する踊り手が、互いに交流を深められる仕掛けがあっても楽しい。「にいがた総おどり」との連携の可能性はありやなしや
▼検討はこれまでも繰り返されてきたのだろうが、面白がれる人が面白がって知恵を出し合う場があるといい。どんな祭りなら心も躍るのか、しょうしがりの新潟っ子も楽しめるのか。往時より減ったとはいえ、7千人以上が踊りに加わる。路上から見えるヒントもあるはずだ。