地域の平和と安定を脅かす身勝手な挑発行為がまた繰り返された。各国は一致して暴走を食い止めねばならない。

 北朝鮮が首都平壌の順安付近から日本海へ向けて、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や短距離弾道ミサイルなど計3発を発射した。韓国政府が明らかにした。

 バイデン米大統領が就任後初の日韓訪問を終えた直後だった。

 この時機を狙って北朝鮮が挑発行為をするとの観測は当初から出ていた。それを実行に移したことは、日米韓の連携強化に反発し、核・ミサイルの増強継続を改めて鮮明にしたといえる。断じて許すことはできない。

 ミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)外へ落下したと推定され、航空機や船舶の被害は確認されていない。

 しかし弾道ミサイル発射は国連安全保障理事会決議違反である。

 日本政府が北京の大使館ルートを通して北朝鮮に抗議したのは当然の対応だ。

 北朝鮮は今年に入り、ICBMを少なくとも5回発射し、弾道ミサイル発射も15回行っている。過去最多ペースだ。

 国内では今月に入り新型コロナウイルスの感染が急拡大し、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は「建国以来の大動乱」と述べている。

 最近は患者数が減少してきたとされるが、危機的状況にあることに違いはない。ミサイル発射にかまけている場合なのか。

 北朝鮮当局は最近の発射について言及していない。日米韓は今回も含め、ミサイル開発の進展などを分析し、情報共有してほしい。

 憂慮するのは、北朝鮮が7回目の核実験に向けた最終準備段階に入ったとの見方があることだ。

 2018年に行われたトランプ前米大統領と金総書記の初の首脳会談後、非核化交渉は決裂し、膠着(こうちゃく)状態が続く。金総書記は先月の演説で体制維持のためには核使用も辞さない考えを表明した。

 ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領は、核兵器の使用も辞さない姿勢をみせている。そのことが、北朝鮮の強硬路線に影響していないか。

 一方、中ロの爆撃機が日本海と東シナ海、太平洋の長距離を共同飛行した。両国を意識して結束を確認した日米などへの示威行動とみられる。地域の不安定化を増すような行為はやめるべきだ。

 中国は、北朝鮮の核実験を容認しない姿勢を引き続き示し、断念するよう働きかけてもらいたい。

 岸田文雄首相とバイデン氏は先日の首脳会談で日米同盟の強化を表明した。しかし米政権は中ロの対応に追われ、北朝鮮問題は後回しになっているとされる。

 日本は拉致問題の解決を最重要課題としている。日米韓は足並みをそろえ、北朝鮮との交渉再開の糸口を粘り強く探ってほしい。