満州で弟2人を亡くした小出公司さん。開拓団集団自決の現地で冥福を祈った=新潟市中央区
満州で弟2人を亡くした小出公司さん。開拓団集団自決の現地で冥福を祈った=新潟市中央区

 戦場において、生と死は常に紙一重だった。どん底から生き延び、戦い終えても苦しみは続いた。国民一人一人の命は軽んじられた。決して繰り返してはならない時代を知る証言者たちは、戦争の果てに何を思うのか。戦後80年の今、その声に耳を傾けた。(9回続きの6)

<5>一家で渡った満州で軍隊に見捨てられ…阿賀野市・88歳の須田一彦さん

 中国東北部、現在の黒竜江省の麻山地区。終戦後、ソ連(現ロシア)軍に追われた満州開拓団の女性や子どもら400人余りが、丘に囲まれた傾斜地で集団自決した。それから65年がたった2010年9月20日、この地を初めて訪れた小出公司さん(93)=新潟市中央区=は、当時犠牲になった弟の正...

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