県知事選挙の投開票が行われ、現職の花角英世氏が新人の片桐奈保美氏に大差をつけて再選を果たした(写真)。県民は花角県政の継続を選んだ。

 県の財政危機や新型コロナウイルス禍で思うに任せなかった1期目を踏まえ、花角氏は「まいた種、植えた苗をしっかりと育てる」と2期目に挑んだ。

 当選を受けて「若い世代、子育て世代に選んでもらえるように魅力ある、暮らしやすい新潟県を目指していく」と語った。

 言葉通りに実行できるか、2期目は知事として真価が問われる。新潟の独自性を高めて魅力を磨き、活力を取り戻すけん引役となることが期待される。

 ウイルス禍からの社会経済活動の再開や、不安定さを増す国際情勢による影響など、先が見通せない状況は続いている。

 そうした中でも、歯止めがかからない人口減少問題への対応や地域振興、医療に関わる問題など、県民生活に密接な課題を前進させる必要がある。県財政も危機的な状況を脱したとはいえ油断できない。

 ◆「県民本位」貫かねば

 県の活力回復には、ウイルス禍の収束後を見据えた戦略をきちんと描くことが欠かせない。

 選挙戦で花角氏は交通ネットワークを充実させ、日本海側の拠点として飛躍できるように取り組むと語った。これまでの経験を生かして「花角カラー」を打ち出してほしい。

 「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録に向けて国際的な理解につながる取り組みが必要だ。

 最も注視したいのは東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題への対応だ。本県にとってこの問題の位置付けは極めて大きい。

 2期目の任期中には再稼働問題で判断を迫られる可能性がある。花角氏には「県民本位」で慎重に判断してもらいたい。

 選挙戦では片桐氏が再稼働反対を前面に出したが、柏崎刈羽原発を巡って不祥事が相次ぐ東電に対しては花角氏も厳しい姿勢を示しており、再稼働問題は明確な対立軸にならなかった。

 花角氏は選挙戦で、原発の安全性を巡る県独自の「三つの検証」の結果が出るまで再稼働の議論はしないと従来と同じ主張を繰り返した。

 だがウクライナ危機に伴う燃料価格の高騰などを背景に、政府は原発再稼働に積極的な姿勢を示している。岸田文雄首相も「安全性を大前提に原子力を最大限活用していくことは大事だ」と述べている。

 今後、政府や与党などから再稼働への圧力が高まることは十分に想像できる。

 新潟日報社が行った出口調査では、柏崎刈羽原発の再稼働に「反対」「どちらかといえば反対」とした人は5割を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」とした人の2倍に上った。

 注目すべきは、再稼働に否定的だった人のうち6割が花角氏に投票したと答えたことだ。

 再稼働問題に慎重な県民も多くが花角氏に支持を寄せている。そのことを重く受け止め、真摯(しんし)に向き合ってもらいたい。

 ◆県議会も責務がある

 投票率は49・64%と前回より9ポイント近く下がった。

 投票した有権者が半数に満たなかったことは残念だ。

 新人同士の戦いで国政与野党の対決が鮮明だった前回と構図が一変し、花角氏への支持が広がったこともあるだろう。

 ただそれが県政に対する県民の無関心を招くようでは困る。

 県政を担うのは知事だけではない。チェック機能を果たす県議会にも重い責務がある。

 県議会は多数を占める自民党をはじめ大半が花角氏を推した。そうしたことが花角県政とのなれ合いを生んではならない。県議会には緊張感のある骨太の論戦を求めたい。

 花角氏は1期目で県内市町村長と良好な関係を築いた。2期目はさらに連携を深め、県民のための施策実現や課題解決に動いてほしい。

 県内各地域の魅力を生かし、バランスの取れた発展を目指していく。そうすることが県全体の活力向上につながるはずだ。