なぜ、これまで開けなかったのか、釈然としない。対応の遅れが不信を招いた。

 2月に従業員6人が死亡、1人が負傷した村上市の三幸製菓荒川工場の火災で、佐藤元保・最高経営責任者(CEO)が31日、火災後初の記者会見を開いた。

 トップ自らが3時間にわたり、火災の原因や再発防止策などについて説明した。

 冒頭、佐藤CEOは「亡くなった6人とご遺族に心よりおわびを申し上げる」と謝罪した。従業員や取引先などにも多大な迷惑をかけたとおわびした。

 多くの遺族が「経営陣は社会にも謝るべきだ」と会見開催を求めてきた。火災から3カ月半たって、ようやく公の場での説明に臨んだことになる。

 なぜ、ここまで時間を要したのかを問われ、佐藤CEOは「遺族と直接対面して謝罪、説明することを優先した」と釈明した。

 火災原因の調査報告がまとまったとして「一定の説明ができると判断した」と答えた。

 調査報告を待たずとも、遺族は早期の謝罪会見を待っていたはずだ。寄り添う姿勢として妥当だったとは言えない。

 調査報告をまとめた火災事故調査委員会は学識者、弁護士、自社取締役の3人で構成する。

 ただ、あくまで会社委託の調査だ。法令違反の有無や責任の所在などについては、県警や消防の調査など、さまざまな角度から検証することが求められる。

 報告によると、従業員が火災発生に気付いた約3分後には煙で視界がなくなり、2人が避難口まで到達できなかった。

 別の4人は避難方法の周知が不徹底だったため、出入り口近くまで避難しながら、出口を見つけられなかったとみられる。

 また、出火直後に起きた停電が「消火・救助活動に支障が生じ、犠牲者の救助を遅らせた一因と推察」とする見方も示した。

 適切な防火対策を講じるべきだった会社の責任は極めて重大だ。4人には労働条件の書面も交付されていなかった。

 安全性を軽んじる会社の姿勢に改めて憤りを覚える。

 三幸製菓は、公表した再発防止策を着実に実践しなくてはならない。煙充満時や停電時に使う小型ライトの配備や避難誘導灯の増強などを徹底してもらいたい。

 会社は荒川、新崎(新潟市北区)、新発田(新発田市)の全3工場の生産を停止している。

 当初5月中旬以降と発表していた再開について、佐藤CEOは「見通しが立っていない」と答えた。再開には遺族への丁寧な説明と理解を得ることが欠かせない。

 会社は今後も説明責任を果たしていくことが求められる。それこそが顧客の信頼を回復し、遺族に寄り添う方策だ。