東京大の岡本拓司教授
 東京大の岡本拓司教授

 昨年のノーベル平和賞に続き、日本の坂口志文大阪大特任教授に生理学・医学賞が授与されると決まった。どんな議論を経て決まったのか気になるが、今回の選考の実態を明らかにする資料が公開されるには50年待たなければならない。言い換えれば、50年前までの実態はおおよそ分かっている。

 日本とノーベル賞との関わりは1901年の第1回、免疫の研究で北里柴三郎が生理学・医学賞の候補に推薦されたことにさかのぼる。候補や選考過程に注目すれば、受賞から見える事情の背後にさらに複雑な現実が見つかることが想像できる。

 公開されるのは、選考手順に関する基本資料や世界各国から来る推薦状、研究の動向や候補者に関する報告書である...

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