
山極寿一さん
9月の初旬にインド南部のバンガロールを訪問し、人と野生生物との共存をテーマにした国際シンポジウムに参加した。ゾウの研究者ラマン・スクマール博士が所属するインド科学研究所と、私が所長を務める総合地球環境学研究所の上廣環境日本学センターとの共催である。
両国で野生動物による被害や、固有種の絶滅の危機に対する保護政策、伝統的な考えが人と野生生物との共存に影響しているかなどについて熱心な議論が交わされた。
▽事前の対策
まず驚いたのは、道端でボンネットモンキーというニホンザルの仲間のサルをよく見かけたことだ。店の軒先に数頭のサルが陣取っているし、食堂でもあちこちにいて食物をさらっていく。人々はサルを...
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