浅谷公威・東京大特任准教授
 浅谷公威・東京大特任准教授

 今年のノーベル賞・科学3賞は、2人の日本人研究者が栄冠に輝くことが決まった。生理学・医学賞の坂口志文大阪大特任教授、化学賞の北川進京都大特別教授は、共同受賞した海外の研究者らとの理論的なつながりや相互の影響を背景に国際的な協働関係を築くことで研究成果を上げた。大きな発見が個人のひらめきだけでなく、国際的な知の連携から生まれていることを示している。

 残念ながら、科学研究の退潮が指摘される今の日本は国際共同研究への参加が少ない。私たちの分析では、数年前の米国研究を後追いする傾向が確認された。新しい発想を取り込む機会を失い、先端分野における国際的な知の連携への貢献が少なくなってきている。

 しかし、...

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