
「ミステリーらしいミステリーが書きたかったんです」と話す櫻田智也さん
昆虫好きの青年が謎を解く短編ミステリーシリーズで知られ、2021年に「蝉かえる」で日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞を受賞した作家の櫻田智也さんが、刑事を主人公にした初の長編小説「失われた貌」(新潮社)を刊行した。「今書けるものは全部書いたという気持ち。やりきって、納得できるものが出来上がった」と達成感をにじませる。
ある地方の山奥で、顔面がつぶされ、両手首が切断された変死体が発見されるところから物語は始まる。公園での不審者情報、行方不明の父親を捜す少年、別の殺人事件…。刑事・日野が一歩ずつ真相に迫っていく中で、いくつもの伏線が複雑に絡み合ってゆく。
「捜査が日常で、事件解決が仕事。そうい...
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