米国で銃犯罪が相次いでいる。無抵抗の市民や子どもが無差別に狙われる乱射事件や、周囲を巻き込む恐れがある銃撃事件を一刻も早く根絶しなければならない。

 5月中旬、ニューヨーク州のスーパーで男がライフルを乱射し、10人が死亡、3人が負傷した。

 下旬にはテキサス州の小学校で教室に侵入した男が半自動小銃を乱射、児童19人と教師2人の21人を殺害、17人を負傷させた。

 6月に入ると、オクラホマ州の医療施設で4人が銃で殺害され、アイオワ州でも2人が射殺される事件がそれぞれ起きた。

 4日夜から5日にかけても、ペンシルベニア、テネシー、ミシガンの3州で銃撃事件が相次いだ。合わせて9人が死亡、少なくとも25人が負傷した。

 5月の乱射事件で発砲した男はいずれも18歳だった。テキサス州では18歳で銃を購入でき、襲撃した男は5月の誕生日直後に銃2丁と銃弾を入手していた。

 日本では信じられない話だ。しかし米国では、銃の所持は憲法で権利として保障されている。

 開拓時代から続く「自分の身は自分で守る」という精神から、銃を「米国文化の礎」とみなす国民意識がある。銃の規制が進まない理由もここにある。

 相次ぐ事件を受け、民主党のバイデン大統領は国民に向けて演説し、「これ以上どれだけの殺りくを受け入れるのか」と訴えた。

 議会に銃規制を強化する立法措置を要求し、殺傷力の高い銃や大容量弾倉の販売禁止、銃購入時の犯罪歴などの確認強化を求めた。銃が横行する社会に危機感を持つのは当然で、バイデン氏が規制強化を主張するのは納得できる。

 一方、共和党は規制に消極的だ。銃の擁護団体を支持基盤に持つトランプ前大統領は「銃を持った悪人に対抗できるのは銃を持った善人だけだ」と強調、規制強化に反対の姿勢を示した。

 議会上院は民主、共和両党の勢力が拮抗(きっこう)し、法案通過は見通せない。議会は党派対立を超え、国を二分する問題に本気で向き合い、打開策を見いだしてほしい。

 バイデン氏は11月の中間選挙に向け、議会が行動しないならば「この問題を投票の中心」に据えるよう国民に促した。

 銃犯罪をなくすことは待ったなしだ。米紙によると、学校での乱射は1970年以降180件以上発生し、少なくとも200人が命を落としたという。

 19歳以下の死因のうち銃に関連した殺人や自殺などが、2020年に交通事故を抜いて初めて1位になったとの研究がある。今年起きた4人以上が死傷する銃撃事件は230件超と集計されている。

 国民の権利は尊重されなければいけない。だが、かけがえのない命を銃から守ることを最優先に考えてもらいたい。