保護者に連絡する際に使用した事務室の固定電話。保護者とのやりとりを、その都度タブレット端末に記録している(画像の一部に加工をしています)
 保護者に連絡する際に使用した事務室の固定電話。保護者とのやりとりを、その都度タブレット端末に記録している(画像の一部に加工をしています)
 「毎日、できる限り全員と話すようにしている」と一ノ瀬。愛用するタブレット端末には子どもの変化への気付きも書き留める

 子どもや教員が帰宅した夜の学校。閑散とした校舎の事務室には連日、明かりがともる。「きょう、家ではどんな様子でしたか」。関東地方の公立小に勤める教諭一ノ瀬賢司(31)=仮名=は、保護者に電話がつながりやすい夜の時間帯を待って、欠席した児童の家に電話をかけた。教員になって6年目。大事にする信念の一つが「保護者への電話は最優先」だ。帰宅が深夜になることもある。それでも保護者とのコミュニケーションは欠かさない。一ノ瀬の胸には、新人時代の苦い経験が刻まれている。(共同通信=浅田佳奈子、池田絵美)

 ▽「なぜ気にかけてくれなかったんですか」

 教師になって初めて担任を受け持ったのは、小3の29人。6月ごろ、...

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