
ニュートリノの前置検出器の予定地近くに「ニュートリノがここを通る」の横断幕がある=2025年6月、茨城県東海村
今年のノーベル賞は、生理学・医学賞で坂口志文(さかぐち・しもん)大阪大特任教授、化学賞で北川進(きたがわ・すすむ)京都大特別教授の受賞が決まり、2人の日本人が栄誉に輝いた。今後も日本人の受賞が期待されるが、「これを発見すればノーベル賞級」と言われるネタは数多くあれど、そこに至る道筋がはっきりと見えているものは少ない。物理学の分野での「素粒子ニュートリノのCP対称性の破れ」はそんな希少案件の一つかもしれない。これまで日本のチームの研究により99・7%の確率で「破れはある」と見込まれているが、これを「発見」と言える99・99994%まで押し上げるためのプロジェクトが今、進行中だ。場所は茨城県東海...
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