子どもへの虐待が止まらない。守られるべき幼い命を救い、悲劇を根絶する一歩にしたい。

 虐待を受けた子どもを親から引き離す一時保護の要否を、親の同意が得られない場合には、裁判官が判断する司法審査を導入した改正児童福祉法が、先の通常国会で成立した。

 児童相談所(児相)は児童福祉法に基づき、虐待を受けている子どもを強制的に親から引き離して一時保護したり、保護者へ指導したりする権限を持つ。

 しかし、一時保護の際、親とのいざこざが絶えないのが現状だ。

 改正により、児相は親の同意がない場合、保護開始前か開始後7日以内に、「一時保護状」を請求し、裁判官が保護状を出すかどうかを判断する。

 司法審査の導入により、児相と親権者とのトラブルを防ぎ、措置の中立性や透明性を担保することを狙う。親の納得を得やすくなることが期待されている。

 児童虐待は年々増加している。2020年度に全国の児相の虐待対応件数は約20万5千件に上った。警察庁のまとめでは、21年の虐待事件の摘発は2170件で、いずれも過去最多だった。

 司法審査の導入は公布後3年以内に施行する。可能な限り早期の施行を目指してもらいたい。

 一時保護など措置の際には、子どもの意向を確認、勘案することを義務付けた。

 19年に千葉県野田市で小4の女児が虐待死した事件は、一時保護を受けていた女児が「家に帰りたくない」と訴えていたことを児相が父親に漏らし、保護解除後に父親の虐待がエスカレートした。

 女児の意向に寄り添わない保護解除は判断ミスだとして、児相の対応が批判された。保護解除の際も慎重な対応が必要だ。

 施行に向けては、児相の体制強化が課題となる。児相は一時保護状請求に当たり、裁判所へ提出する書類などを迅速に作成しなければならず負担が増える。

 そのために一時保護が遅れたりためらったりすれば本末転倒だ。

 虐待対応や家庭支援に高い専門性を持つ新しい認定資格も創設される。保護すべき子どもが取り残されることのないよう取り組んでもらいたい。

 施設などからの自立支援の面では、これまで原則18歳(最長22歳)までとなっている年齢上限を撤廃し、24年4月に施行する。

 現行法では高校卒業で自立を求められる。22歳まで措置延長が認められるが、施設の都合で退所せざるを得ない人もいる。

 改正法では施設や自治体が自立可能と判断するまで支援が継続されることになった。

 施設を出た後に相談を受ける拠点の整備も求められる。切れ目なく支えることができる仕組みづくりが欠かせない。