地域の暮らしを支える公共交通だ。窮状をしのぐために減便を繰り返す状況は心もとない。交通網の持続へ、官民とも抜本的な議論を急がねばならない。

 新潟市などで営業する新潟交通は、29日のダイヤ改正で路線バスを減便する。現行の運行便数より平日は78便、土曜は87便、最も減り幅の大きい日曜祝日は90便それぞれ減らす。

 新潟市中心部に乗り入れる路線のうち、7割に当たる31路線が対象となる。平日朝夕のラッシュ時間帯に減便したり、土日祝日の運行をやめたりする路線もある。

 影響を受ける人は少なくない。特に車を運転できない学生や、高齢者の移動に過度な支障が出ないか、減便後も検証が求められる。

 減便について、新潟交通は運転手不足を理由に挙げる。2025年度の退職者が28人と想定を上回り、現行の便数を維持する要員が確保できないという説明だ。

 ただ、昨年8月にも運転手不足を理由に減便に踏み切り、その際、幹部は「現時点で再度の減便は予定していない」と述べていた。

 予期できない退職があったとしても、度重なる減便は公共交通の信頼性を揺るがす。中長期の展望を示す必要がある。

 運転手不足の一因に、他産業に比べ賃金が低いことが業界内外から指摘されている。

 新潟交通では運転手の確保を目指して24年4月に初任給を2万円引き上げ、25年も休日出勤手当の増額などを進めた。路線維持を目指す新潟市も協力し、運転手の家賃補助など待遇改善につながる施策に公費を投入してきた。

 結果、採用数は25年度に15人と、24年度の8人からほぼ倍増した。しかし、その効果を退職者の増加が打ち消した格好だ。

 減便を発表した今月4日の会見で、新潟交通側は「給与の不満などでやめたという話は、直接は聞いていない」とし、具体的な退職理由に言及しなかった。離職対策については「今後の具体策は持ち合わせていない」とも語った。

 税金が投入されている施策である。まずは原因を分析し、新たな定着策を練る必要があるだろう。

 運転手不足は、新潟交通だけの問題ではない。県内では路線バスの廃止や減便が相次ぎ、維持に黄信号がともっている。

 全国も同様だ。全国のバス事業者の労働組合でつくる「私鉄バス専業組合連絡協議会」が昨年実施したアンケートでは、運転手不足と答えたのは133労組と、回答した144労組の9割を超えた。

 バスは生活インフラである。「公共交通は教育や医療福祉と同じく税金で支えるものだ」と指摘する専門家もいる。

 国と自治体、企業が互いの役割を協議し、少子高齢化時代にも持続できる交通政策を、早急に講じるべきだ。