食料やエネルギー価格が高騰する中、合意した内容でどれだけ効果を示せるのか、各国の結束力が問われている。

 ドイツ南部エルマウで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)が閉幕した。

 ウクライナ侵攻後初めての定例会議で、ロシアに「厳しい経済的代償を科し続ける」とする首脳声明を採択した。制裁と圧力を強化する姿勢を鮮明にした内容だ。

 食料安全保障に関する声明では、世界的な食料危機に対応するため、45億ドル(約6100億円)を拠出することも表明した。日本は2億ドル(約270億円)規模で食料支援する。

 G7首脳が、侵攻は飢餓の危機を劇的に悪化させていると強く非難したのは当然だ。

 ロシアには、黒海を封鎖してウクライナからの穀物輸出を停滞させ、食料不足と価格高騰を招いた「重大な責任」がある。

 ところが、アフリカなどでは「制裁のせい」とするロシアの宣伝が中国の後押しで浸透している。

 首脳声明は、ロシアに友好的な中国にも即時、無条件の撤退をロシアに求めるよう要求した。

 領有権主張に基づく中国の東・南シナ海進出を念頭に、力による一方的な現状変更の試みには「強く反対する」とも言及した。軍事的な行動を決して許さない姿勢を強調したといえる。

 一方、会議では圧力強化に積極的な米英カナダと慎重な仏独伊の亀裂が見え隠れした。日本は米国に協調する姿勢を示している。

 ロシア産石油の取引価格に上限を設けるとした新たな制裁策が、「検討」にとどまったことが、その温度差を象徴している。

 石油価格を巡る制裁は、ロシアの外貨獲得の手段を細らせ、原油高対策にもなるよう狙ったものだ。従来の経済制裁の効果が限られてきたことがあるのだろう。

 ただし、実現には国際的な協力態勢が求められる。ロシアは輸出先を西側諸国から中国やインドなどに振り替えつつあり、賛同を得られるかは不透明だ。

 そもそもロシアが上限価格での取引に応じない可能性がある。対抗措置で欧州向けの天然ガス供給を減らす結果にもなりかねない。

 ドイツは侵攻前、天然ガスの輸入の半分以上をロシアに依存していた。エネルギー資源国の米カナダとは立場を異にする。

 加えて、物価高も深刻で、国民の関心はウクライナ情勢から内政や経済に移りつつある。英仏独などは政権不信に直面し、米国も11月に中間選挙を控えている。

 ロシアへの圧力強化とインフレ抑制の両立という難題の解決がG7には求められる。

 世界経済の失速を防ぎつつ、ウクライナ撤退を実現するためには、途上国を含めた各国が連携して取り組まねばならない。