政府与党の予算を巡るちぐはぐな対応が目に余る。背景には、国会審議を軽視する姿勢があるのではないか。

 予算の空白はあってはならない。当初予算が成立するまで、国民生活に支障を来さないことが何よりも肝心だ。

 政府は27日、2026年度予算案が年度内成立しないことに備える暫定予算案を閣議決定し、国会に提出した。30日の衆参両院で採決され、成立する見通しだ。

 一般会計の歳出は計8兆5641億円となる。社会保障費や地方交付税交付金、公務員の人件費のほか、4月に拡充される高校授業料の無償化などを計上した。

 暫定予算案の編成は15年以来、11年ぶりである。4月1日からの11日間分を盛り込んだ。

 当初予算案が今月13日に衆院を通過しており、4月11日まで参院が議決しなければ衆院の議決が優先され自然成立するからだ。

 疑問なのは、暫定予算案の編成を余儀なくされても、高市早苗首相が当初予算案の年度内成立にこだわっていることだ。

 首相は26日の衆院本会議で「不測の事態に備え、暫定予算を提出する考えだが、引き続き予算の年度内成立をお願いしたい」などと述べ、「年度内」に固執した。

 官邸関係者によると、首相は「なぜ年度内は無理なのか」と怒っているという。

 無理を通そうとする対応は、国民も理解に苦しむのではないか。

 暫定予算案を編成せざるを得なかったのは、首相が通常国会冒頭で衆院解散に踏み切り、当初予算案の審議入りが遅れたためであることは言うまでもない。

 窮屈な日程の中、自民党と日本維新の会の連立与党は、年度内成立へ向け、衆院予算委員会での審議時間を例年よりも短い時間で済ませた。野党は審議の充実を求めたが、与党は数の力で強行採決し、衆院を通過させた。

 参院は少数与党のため数の力は通用しない。衆院で強引な議事進行をしておきながら、参院で年度内成立の協力を求めても、野党が応じないのは当然だ。

 政府与党側の見通しの甘さもあったと言えるだろう。

 参院での審議も尽くされていない。27日までの参院予算委員会での質疑時間は39時間にとどまっている。野党が目安とする60時間台には程遠い。

 国会での予算審議はまだ尽くされていないように映る。

 野党は参院での当初予算案審議を4月9日まで必要としている。

 当初予算案を編成した昨年末以降、米国とイスラエルがイランを攻撃し、ガソリン価格が急騰するなど、日常生活に大きな影響を及ぼしている。

 国民が安心して暮らせるよう、与野党は参院での議論を深めてもらいたい。