
「600年来の秘伝」の書が現代語になってよみがえった。秘伝を残したのは室町時代の能役者・世阿弥。その能楽論「風姿花伝」は日本最古の演劇論とされるが、劇作家で小説家の訳者の手にかかれば、軽やかな読み心地に。能についての学びだけでなく、日々の仕事、人生に通じる奥義がちりばめられている。
「はじめに」の序文から、覚えておきたい心得に出合う。「飲む・打つ・買う、の三つは絶対やめるように」「稽古に邁進するように」「慢心およびそれに由来する依怙地に自分が支配されていないかどうか、警戒を怠らないように」。日々の地味な積み重ねを基本としたい、と自戒する。
続く「花伝」はその1~7まで。生涯にわたる「稽古」は...
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