杉山響子さん
 杉山響子さん

 認知症は大切な思い出を消していく。102歳を迎えた直木賞作家の佐藤愛子さんは今、そんな記憶の「霧」の中にいる。杉山響子さんは娘として知る「母のカケラ」を、言葉にして本書に集めた。「今をあるがまま、正直に書きました。母のことを立体的に残しておきたかったから」

 ベストセラー「九十歳。何がめでたい」でも知られる佐藤さんは、パワフルで辛口な「怒りん坊」のイメージが強い。高齢になって「断筆」と言いつつ「もの書く機関車」の勢いが続いていた。

 変化が見えたのは100歳の頃。気弱になったりいら立ったり。きっぷの良いユーモアは徐々に失われ「大切なものが減っていくよう」だった。

 当初、周囲に隠すことで母を守った...

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