細谷雄一さん
 細谷雄一さん

 ロシアのウクライナ侵攻という、歴史の転換点を私たちは目撃した。冷戦後、世界平和への希望はなぜ絶望に変わったのか。慶応大教授の細谷雄一さんが1991年のソ連崩壊から2022年のウクライナ侵攻に至る激動を描いた。「この30年は私が国際政治学者として歩んだ時期と重なる」と執筆への思いを語る。

 書名は英国の歴史家カーの名著「危機の二十年」にちなんだ。カーは、世界の国々は理性的に平和を目指すと考える「ユートピアニズム」と、国際政治を弱肉強食の権力闘争とみなす「リアリズム」を対比し、第1次世界大戦後の安定が崩れ、第2次大戦の開戦に至るまでの過程を分析した。

 本書もこの二つを軸に冷戦後を読み解き、一方に偏...

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