愛知学院大准教授の広中一成さん
愛知学院大准教授の広中一成さん
新書の表紙
2024年8月、731部隊の跡地を訪れ、石碑に向かい手を合わせる清水英男さん=中国黒竜江省ハルビン市(共同)
中国政府が公開した、日中戦争中に細菌兵器の開発を進めた旧日本軍731部隊に関する文書(中国国家公文書局のHPから)
映画「731」についての映画館のモニター=2025年7月
北京市内の映画館に掲示された「731」のポスター=2025年10月(共同)

 日中戦争中に、中国大陸で人体実験や細菌兵器の開発を進めた旧日本軍の「731部隊」。「存在しない」「中国の捏造(ねつぞう)だ」と否定する人もいる中、愛知学院大准教授の広中一成(48)は戦後80年となった昨年夏、部隊に関する新書を出版した。自分のことをこんなふうに表現する。

 「日本と中国、どちらも“冷たく”見ている。ただ、事実を追求したいんです」

 多くの資料に当たり、731部隊の戦争犯罪について調べた専門家の言葉の真意とは…(共同通信=鮎川佳苗)

 ▽不思議な縁が重なって

 広中さんは中国近現代史や日中戦争史が専門だ。

 1931年の満州事変以降、日本が中国に進出する過程で各地に「傀儡(かいらい)政権」が生まれ...

残り3650文字(全文:3949文字)