国内の新型コロナウイルス感染は流行「第7波」に入り、新規感染者が急拡大している。全国の1日当たりの新規感染者数が過去最多を更新した。累計感染者数は既に1千万人に達している。

 夏休みの帰省やイベント時にも改めて手洗いや屋内でのマスク着用、密の回避など感染防止の対策を徹底することが大事だ。

 急拡大の要因は、オミクロン株の派生型「BA・2」より感染力が強い「BA・5」に置き換わりが進んでいることがある。ワクチンや感染で得た免疫をすり抜ける性質も指摘されている。

 政府は現時点で行動制限を求めないが、今月前半を予定していた全国旅行支援の開始は延期した。

 夏休みに入ると、人と人との接触が増え、さらなる感染拡大が危惧される。慎重に対応するのはやむを得ない。

 これまでの流行では、新規感染者の増加を追うように、入院が必要な人が増えた。医療逼迫(ひっぱく)への懸念は消えない。

 医療提供体制が深刻になった場合は、行動制限を含めた強い対策が必要だと指摘する専門家もいる。油断してはならない。

 3月に「まん延防止等重点措置」が解除されて飲食店などの客足は戻りつつある。

 しかし、爆発的に感染が広がり、再び経済活動を制限する事態を招けば、また痛手を負う。そうならないような対策が必要だ。

 第6波までの経験や知見を生かし、乗り越えたい。

 岸田文雄首相は14日の記者会見でワクチンの4回目の接種対象を60歳以上と、18歳以上で持病のある人から、医療従事者と高齢者施設職員にも拡大すると表明した。

 主要駅や空港に100カ所以上の臨時無料検査拠点の整備も打ち出した。感染拡大を食い止めるため十分力を注いでほしい。

 屋内でも熱中症にならないように適度なエアコン使用は大切だが、部屋を閉め切っていることも感染拡大の一因とされる。

 2方向の窓を開けたり換気扇を使ったりして、外部に空気が流れ出す状態をつくることが重要だ。しっかりと実践したい。

 屋内はもちろん、屋外でも会話をする場合や人が集まる場所でのマスク着用を忘れてはならない。

 この夏は感染拡大が始まって以来、久しぶりに夏祭りやイベントを行う所も多い。主催者は時間の短縮や、密にならないような感染対策をしっかり施した上で実施し、場合によっては中止する英断も必要だろう。

 ワクチンの全国年代別接種率では、60代以上は8~9割だが、20、30代は4割台と低い。

 若い世代から重症化リスクが高い高齢者らに感染が広がることは避けたい。ワクチン接種や検査の徹底など、自分にできる感染防止策を一人一人が徹底したい。