これまでに経験したことのないような大雨になった。雨はまだ続く恐れがある。河川の増水や土砂災害などに警戒を続け、身を守ることを第一に行動してほしい。

 どれほどの被害が出ているかもまだ分かっていない。国や自治体、警察などの関係機関は情報収集に力を注ぎ、被害の全容把握を急いでほしい。

 前線の影響で東北や北陸で大雨が続き、本県では下越地方で前線に沿って流された雲による線状降水帯が発生した。

 気象庁は4日未明に「大雨特別警報」を村上市と関川村に、明け方には胎内市に相次ぎ発出し、3市村は全域に警戒レベル5の避難情報「緊急安全確保」を出し最大級の警戒を呼び掛けた。

 県は3市村に災害救助法を適用し、災害対策法に基づき自衛隊に村上市への災害派遣を要請した。

 関川村上関では国土交通省の観測で1時間雨量が161ミリとなる猛烈な雨が降った。3日午前3時の降り始めから4日午後4時までの雨量は634ミリと、記録的な大雨になった。

 村上市で住宅が全壊しけが人が出た。床上・床下の浸水被害は3市村以外にも及んだ。

 土砂崩れによって、孤立し取り残される人もいた。高齢者施設などにも被害が出た。

 停電や断水が続いている。被災地域では、しばらく避難所生活を余儀なくされる人もいるだろう。

 被害に遭った人たちが一日でも早く安心して生活できるよう、自治体など関係機関は支援に力を入れてもらいたい。

 大雨特別警報は数十年に1度の雨量が想定され、重大な災害が起きる恐れが著しく高まっている場合に発表される。県内では2019年の台風19号で上越市などに出されて以来、2回目だ。

 特別警報は4日午前に解除されたが、決して油断をしてはならない。河川の下流域では、遅れて氾濫する可能性がある。山の斜面は水分を多く含んでいる。今後、少しの雨でも土砂災害が発生する恐れがある。

 しばらくは危険な状態が続くと認識し、川や山の斜面付近には近寄らないようにしたい。

 今回の大雨は、山形や福島、石川、福井など東北地方から北陸地方にかけての広い範囲で大きな爪痕を残した。

 国交省によると、山形の最上川など本県を除く5県の17河川で氾濫が発生した。山形や福島ではJRの鉄橋が崩落した。自然の猛威を改めて見せつけられた。

 消防庁によると、緊急安全確保と避難指示の対象は、4日午後時点で本県を含め約54万人だった。

 大雨被害は近年、全国で多発している。被害がなかった地域でも人ごとではない。指定避難場所や防災グッズなど、いま一度備えを確認したい。