対局のネット中継を見ながら実際に駒を動かすと、より臨場感が増す(写真映像部・金子悟撮影)

 小学生の頃、教室で友人と指していた将棋。子どもが生まれてからは自宅で指導を兼ねて「対局」したこともある。ただ、それは単なる遊びでしかなく、手を読んだり、戦型を研究したりするほどではなかった。プロの対局をテレビで見ても退屈で、最後まで見た記憶はない。正直、将棋はつまらなかった。

 だが2017年、見方が変わった。14歳の中学生棋士、藤井聡太四段(当時)がデビューから負けなしの公式戦29連勝。最多記録を30年ぶりに塗り替えた。一体どこまで強くなるのだろう。いつの間にか、対局を追うようになっていた。

 将棋を指すより対局を見て楽しむ「観(み)る将」と呼ばれるファンが増えている。記者もその一人だ。今や五...

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