
山形県境に程近い新潟県村上市山北地区の大川は、毎年この時季になると、サケが産卵のために戻ってくる。この周辺では「コド漁」と呼ばれる昔からの漁が行われている。サケ文化に詳しい鮭(さけ)鱒(ます)文化研究所代表の赤羽正春さん(70)=村上市=によれば、コドとは漢字で「固笯」と書き、固定した仕掛けという意味だ。
コド漁は浅めで小石が多い川岸に、木のくいを1メートルから2メートル四方に数本打ち込む。くいに沿って笹やスギの皮、ヨシなどで囲いを設け、サケの入り口を作っておく。物陰に隠れるサケの習性を利用し、誘い込む。サケを確認したら、釣り針を大きくしたような鉤(かぎ)が付いた竿(さお)を川に差し込み、サ...
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