本棚に囲まれた異人池建築図書館喫茶店の館内。読書や喫茶を目的に多くの人が訪れる=新潟市中央区(写真映像部・大渕一洋撮影)

 新潟市中央区の西大畑地区は、住宅街の中に古い建物が多く残り、散策が楽しいエリアだ。以前からたびたび訪れていたが、最近よく足が向くようになった。入れたてのコーヒーが飲めて、建築の面白さにも触れられる「図書館」ができたからだ。

 その名も「異人池建築図書館喫茶店」。どっぺり坂の隣にある異人池ハウス2階に昨年2月、オープンした。1級建築士の東海林健(しょうじ・たける)さん(47)が代表を務める建築設計事務所が、オフィスの一部を開放して運営している。

 建築図書館というだけあって、蔵書は東海林さんが集めてきた建築やアートに関する本が中心。個人に有料で本棚を貸し出す「一箱本棚オーナー」の本も並ぶ。約1300冊が自由に読め、一部は借りることもできる。

 自家焙煎コーヒーが売りの「喫茶ベンチ」を併設していて、カフェ目的の訪問も多い。電源やWi-Fiが利用できるので、リモートワークも可能だ。事務所のスタッフや学生インターンが大きなテーブルで建築模型を作っている場面に出くわすこともある。東海林さんは「訪れた人が思い思いに過ごせるパブリックスペースです」と説明する。

 西大畑地区にはかつて「異人池」と呼ばれる池があった。池の名前は、明治時代に教会が...

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